メイラードフェーズバランス→RoR=ローストカーブ

焙煎

こんばんは!

お元気ですか?今回も焙煎のディープな世界をお話していきます。

今回はイメージしやすいのでよし!やってみよう!と参考にしやすいかと思います😳
あーなんかそれ聞いたことある。な内容をより具体的に紐解けることになることうけ合い!

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メイラードフェーズについて

ゴールドから始まってハゼが起きるまでのことを言います。

ドライで水分の結合が外れた前駆体の還元糖とアミノ酸がだいたい反応していきます。
パンのような甘い香りがし、豆が色付くのはメイラード反応の影響です。

つまり珈琲らしい酸味や味わいがどんどん作られていってるよフェーズになります。

※ちょっと難しい話↓読み飛ばしOK!

メイラード反応自体は大体豆温度が125℃あたりから反応はしているらしいのですが、
温度上昇と共に反応速度も高まっていき顕著に見えていきます。
(温度の数字は焙煎機と熱の与え方、及び豆で変わるんですが、
特に僕の焙煎機では豆温度150℃を指し示すあたりからとても顕著に表れてきます。

そして170℃付近で香りがやや酸っぱさを伴うようなものに若干変わり、豆がやや縮み始めていきます。
これはキャラメライゼーションといい、これは還元糖の分解のみをピンポイントで早めます。メイラード反応も同時に起きているので、人気者の還元糖が倍速で反応して失われていきます。
キャラメライゼーションは甘みを強く作っていきます。
ですが同時に苦味も作ります。プリンのカラメルソースのイメージです。
ここが長いと酸の角はどんどんまるくなっていき、フラットに近づいていきます。一般的に言うとすごくマイルドになっていきます。
特に浅煎りの場合わかりやすいです。

キャラメライゼーションはハゼた後も続いていくので酸度の残り方の強弱はデベロップメントの強弱だけではなくここからスタートの反応時間に注目して全体の焙煎カーブバランスを参考に見てください。
これはキャラメライゼーションといい、これは還元糖の分解のみをピンポイントで早めます。
ここからは人気者の還元糖が倍速で反応して失われていきます。
キャラメライゼーションは甘みを強く作っていきます。ですが同時に苦味も作ります。プリンのカラメルソースのイメージです。
ここが長いと一般的に言うとすごくマイルドになっていきます。
特に浅煎りの場合わかりやすいですが酸の角はどんどんまるくなっていきます。フラットに近づいていきます。
キャラメライゼーションはハゼた後も続いていくので酸度の残り方の強弱はデベロップメントの強弱だけではなくここからの反応時間に注目してください。

このメイラードフェーズの間、様々な味わいが形成されていきます。

そして、このメイラードフェーズを長くとるか短くとるか(強く弱く)など反応の当て方で味わいが大きく変わっていきます。

ですがそれはもちろん豆によって、そして焙煎機によって違います。
さらにもっと言えば、相対的なものなのでドライの時間や環境でも変わります。

なので長く反応させるか、短く反応させるかは一度その向きあう素材の尺度を設定してからじゃないとわからないのです。
くれぐれもここの時間は4分がいいだとか5分で合わせるとか他人の物差しや他の豆の基準をそのまま当てはめることだけはやめたほうがいいかもしれません。

じゃぁどう最適化していくのか。

まず答えを並べてみましょう。

長反応 短反応

・マウスフィールヘビー
 (質の向上ではない)
・アシディティの低下
・複雑性
・スイートネスの向上(感)
・ベイクドフレーバーのリスク

・マウスフィールライト
・アシディティの明確化
・クリーン
・フレーバーの向上(感)
・豆内部未発達のリスク


珈琲豆の成分が有限な以上何かのボリュームが増えると何かのボリュームを失う傾向があったりバランスが崩れて美味しくなくなってしまうからある程度ほどほどにね。

注意点
メイラードフェーズ中も水分はどんどん失われる。
水分があれば反応の強度は強くなる。
むしろ水分が必要。(加水分解反応)

さぁここで察しの良い人or前回を読み込んだ人ならだんだん見えてきたはず。

『メイラードフェーズが終わるまでの間』で水分をどう使うかってことなんです。
決して水分抜きだなんだと強調してドライをいたずらに長くしたりするわけでもフェーズ毎に極端に操作しなくてもいいんです。俯瞰で見ることが大事です。

ここまで理解したうえでカッピングをしていくと
あるパターンがあることに気づきます。

それは
ローストカーブから見る傾向です。

あ、あの、。当たり前のように出てきたローストカーブってなに?

RoRの記録からできたグラフの曲線だよ。

RoRって温度が前と比べてどのくらい上昇したか、だっけ?
どうやってわかるの?

定刻毎に(わたしは1分)温度を測れば温度差が見えるわよ!
それをグラフにすればカーブが見えるわね。

いちいちグラフに直さなくてもいいんだけどわかりやすいってことよね。

わたしは面倒だからソフトを使って簡単に記録しているわ!

もちろん手書きでもOK!

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3タイプのローストカーブ

ローストカーブは焙煎を全体で見てバランスを計るのに役に立つ考え方です。

例として3タイプのローストカーブを用いて焙煎の全体をとらえてみましょう。

その前に、ここではスリーフェーズの用語がでてきますので軽くおさらいしておきましょう。
(まだ説明していないデベロップメントフェーズについては、次項で詳しく説明していきますが、ここでは下記の認識でいていただけるとわかりやすいかと思います。)

ドライフェーズ メイラードフェーズ デベロップメントフェーズ

前駆物質作るよ!
メイラードフェーズ前のスタンバイ!

メイラード反応全開!
アミノ酸、ショ糖の分解
ここのバランスによって味わいが大きく変わる!

メイラードで作ったバランスを急速に発展させていく。好ましい芳香化合物がどんどんできる。フレーバー形成、アロマの増加、苦味の発生

→→グラデーションでとらえること!→→
※フェーズでスパッと切り替わるわけではありません。

それでは早速大体焙煎度を合わせた3つのプロファイルで

傾向を見ていきましょう。

①Iカーブ焙煎

グラフにしたら大体真っすぐになるカロリーの入れかたをする焙煎です。

シンプルなプロファイルなので基準にしやすいです。
ドライフェーズもメイラードフェーズもしっかり時間をとったバランスのよい味わいになりやすいです。
それってハイ~シティローストの焙煎度での排出が合いやすいですね。

  投入 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
豆温度 170 100 105 121 137 151 164 176 187 198 206 214
RoR   -70 5 16 16 14 13 12 11 11 8 8
ガス圧
0.1 1             0.7      

中点:1分15秒
ドライフェーズ:255秒(40%)
ゴールド:5分30秒
メイラードフェーズ:170秒(27%)
ハゼ:8分20秒
デベロップメントフェーズ:2分20秒
排出:10分40秒(640秒)210℃
バランス豆内部にカロリーを伝えています。
美味しいです。でもこの焙煎度だともう少しフレーバーを強調したいですね。
※()内のパーセンテージは全体時間に対してのフェーズ時間の割合を示しています。

②Sカーブ焙煎

グラフにしたら若干S字っぽく折れるグラフです。

メイラードフェーズを短反応にする傾向です。
アシディティがくっきりと残った味わいはスペシャルティコーヒーの個性を際立たせるにはうってつけ!ミディアム~ハイローストで排出する味わいに相性がいいですね。
クリーンでアシディティの『質』が良い素材だと最高です。

  投入 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
豆温度 165 95 102 120 137 153 166 179 192 201 207 210
RoR   -70 7 18 17 16 13 13 13 9 6 3
ガス圧 0.1 1.2             0.6      

中点:1分10秒
(ドライフェーズ):240秒(39%)
ゴールド:5分10秒
(メイラードフェーズ):155秒(25%)
ハゼ:7分45秒
(デベロップメントフェーズ):2分20秒
排出:10分10秒(610秒)208℃

ただメイラーフェーズを短くするだけでは帳尻が合わなくなる(カロリーが不足する)のでドライフェーズは中点を下げ、適正な割合を極力変えないようにします。
そしてデベロップメントフェーズでのカロリーの入り方を穏やかにしてΔTの帳尻を押さえます(次回後述)。

③Cカーブ焙煎

グラフにしたら最初に勢いが増してその後どんどん失速していくグラフです。

メイラード反応が長反応の傾向があります。
酸を極力殺したい、ローストフレーバーを豊かにしたい。アロマを強くしたい。
2ハゼまで煎り進める焙煎やフレーバーよりスイートでコクのある味わいの方はこっち。
多孔質になる故に抽出効率も良くなる焙煎です。つまりエスプレッソにもおすすめ。

  投入 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
豆温度 175 105 110 125 140 153 165 175 184 193 201 207
RoR   -70 5 15 15 13 12 10 9 9 8 6
ガス圧 0.1 0.9             0.8      

中点:1分20秒
(ドライフェーズ):250秒(37%)
ゴールド:5分10秒
(メイラードフェーズ):210秒(31%)
ハゼ:8分40秒
(デベロップメントフェーズ):2分30秒
排出:11分10秒(610秒)208℃
ハゼ前のキャラメライゼーションあたりから特にしっかり伸ばすイメージです。
クリーンが弱くなり、味わいがやや重たくなるので本当に良い酸質の素材を使えば珈琲の酸味に慣れていない方でも受け入れやすい浅煎りになります。

 

巷で聞くSICカーブは作用しているフェーズ間のバランスによって味わいの傾向が変わるよってことだったんだね。

そうね。大事なことはカーブに合わせたりするんじゃなくて、結果としてこういう傾向があったなって理解した上で次のトライ&エラーへの布石にできることなの。カッピングスキルが高ければ何十回も焙煎すれば誰だっていつかは理想のプロファイルにたどり着けると思うんだけど、1バッジでも少なく最高のプロファイルを完成させれることがプロフェッショナルの焙煎であり技術なんだと思うわ。

あのさぁ、参考に表見てたらフェーズバランスとそれに対して行うガス圧のアプローチがなんとなくわかったんだけど、、なんかさりげなく投入温度がちょくちょく違うけどこれなんなの?

中点を変えるためにやったわ。
今回わかりやすくするためにガス圧の調整は一回のみで変化を付けたからしょうがなかったのよ。

 
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焙煎時間と中点

中点が与える影響で一番大きいのは焙煎時間です。
10℃違うだけで1分程総焙煎時間が変わります。

総焙煎時間が長くなると各フェーズの時間(但し割合は変わりにくいよ。)も長くなる味わいになります。スイートネスやマウスフィールのしっかりして複雑な味わい。

総焙煎時間が短くなるともちろんその逆、アシディティとフレーバーのはっきりしたクリーンな味わいになるよ。

そんじゃぁ総焙煎時間を変えないで中点だけ変えたらどうなるか?
次は10℃の帳尻を埋めるためにカロリーのかけ方を調整する必要があります。

カロリーのかけ方が変わるとその後の反応帯でのバランス(今度は割合が変わってしまいがちになる。)が変わります。

その程度を大きくしてしまうと焙煎によるブレがとても大きくなります。
中点って大事ですね。

僕はもしずれた場合は大体3分までの間で微調整を行い同じラインに乗せるようにリカバリーをかけています。

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読み飛ばしまくった方ごめんなさい。
読み飛ばさないで読んでくれた方ありがとうございます。

表とグラフのオンパレード&数字ばっかりでかなりつらかったでしょうか?

こう変えたらこう味わいが変わるよねっていうデータの集積こそ焙煎が上手になる一番の近道だと思います。なので部分部分、わかる範囲でいいと思います。

今回は割と極端な叩き台を提示しました。

あなたのプロファイルに少しでも良い方向に影響を与えてくれることを願っています。