焙煎度合いの策定①「ブラジルダテーラ農園 デカフェ」

焙煎

当店ではその豆にとって最適な焙煎を行っています。

こんな謳い文句を見たことがありますか?

 

そしてこんな疑問が浮かんだことありませんか?

当たり前でしょ!

最適と思っていないものを販売していちゃだめなんじゃないかな。

 

では最適な焙煎度合いってなんだろう。

 

ここで仮にお肉に例えると

『生で食べるにはクセが強すぎる』『焼くとすごいいい香りがする』

『焼いてもあまり硬くならない』『肉汁がすごい』などなど

種類、調理方法によってもいろいろな個性があります。

お魚でも刺身向きだったり煮つけ向きだったりしますもんね。

 

それが珈琲にもあるわけです。

 

だがしかし。

スペシャルティコーヒーにおいてはその最適な焙煎度合いが広いこと広いこと。

刺身で良し、煮てよし、焼いてよしのようなイメージです。

 

それだと面白くないので今回は

 

癖のある『デカフェ』という素材を例に向き合っていきます。

 

使用する珈琲豆は

『ブラジル ダテーラ農園 デカフェ』

まずはサンプル焙煎で珈琲豆の素材を知っていきます。

まずは火力、ダンパー共に一定にして火の通り方を見ます。

ここの基準のカーブを自分の中に持っておくことは非常に大事だと思います。

僕はまずディスカバリーにおいては

200g 投入160℃ 中点90℃ ダンパー3.5(ニュートラル) カロリー1.0

を基準に持っています。

 

今回ブラジルで粒が小さく多いということもあって中点が落ちすぎそうだと思い

投入温度を160→170

触った感じすごく乾いていたので抜けすぎないように

ダンパーを3.5→3

カロリーはそのまま1.0で焙煎しました。

 

画像の1Bを参照してください。

中点はほぼ狙い通りに落ちてくれました。

 

5分ほどでゴールド 少し早いかな。

デカフェ独特の香りでかなりわかりづらい。

 

チャフがないので縮合反応は特定できず。

 

1ハゼは187℃ ダンパー閉め気味で内圧がかかっているので少し早いタイミング

バラツキが多いのでハゼが揃っていない。

メイラードの時間は短めにおわった。

カロリーは伝わりやすい。

2ハゼは218℃ 大体2分30秒

あまり耐えきれない。

といったデータが取れました。

 

焙煎において一番大事なのは

データの集積です

 

この素材はこうしたらこうなるんだよ。

をもとに

だったらこうしたらいいよね?

の引き出しの多さと正確さ、そして最終的な仕上がり。

これが上手な焙煎だと思います。

プロファイルが狙った動きをしようがしまいが、

結果的に物を言うのはカッピングです。

プロファイルの動きでは語れず、

カッピングでの結果のみがプロファイルを語り、

そして素材を知れます。

 

さて前回の1Bのカッピング結果ですが

まず微かにグラッシーでした。

デカフェ特有の麦っぽいアロマがありました。

ある程度クリーン感はありました。

ビターネスは抑えられていました。

味わいは平たくありました。

甘さはもう一つ欲しい味わいでありましたがなくはなかったです。

酸はあまりありませんでした。

 

よく言えば飲みやすい味わいでした。

悪く言えば面白みのない味わいでした。

 

これを受けての改善、

と、

いきたいところですが、

エゴで一度寄り道をします。

 

素材を活かすSカーブ寄りの焙煎プロファイルで浅く入れてフレーバー自体が活かせるのかということです。

お肉でいうと刺身的なところです。

 

2B参照

平たいイメージがあったのでダンパーはさらに閉めます。

スタートでさらにダンパーを閉めました。

全体的にカロリーが伝わりやすかったのでカロリーは0.8に下げました。

Goldからダンパーをニュートラルに開放してダンパーが開くことにより窯温度が落ちるのでカロリーを0.9にあげました。

190℃でハゼを見越して185℃で事前にカロリーを下げておきました。

 

グラッシーさが怖かったのでDTはかなり長めの2分50秒 DTR27% とりました。

 

結果

デカフェの麦のようなフレーバーがとても活かされた焙煎になりました。

ひいき目に行って麦チョコ、水出しで出したらこれはきっと麦茶になります。

うん、美味しくない。

フレーバーは活かさず美味しいローストフレーバーを付ける方向性へと迷いなく舵を切ることになりました。

次回へ。