エスプレッソマシンによる抽出

ラテアート

エスプレッソとはなんですか?

細かく挽いたコーヒーの粉に高圧蒸気を通し、珈琲成分を素早く抽出した少量の濃い飲み物です。

少量であることと短い抽出時間の為1g、1秒、1アクションが大きく影響してしまいます。

バリスタによって様々なスタイルがありますが、
なぜそのやり方なのか。なぜその動作が必要なのか。
本当に答えることが出来ますか?

プロフェッショナルとして知っておきたい理論をラテアートの前にまず明確に記しておきます。
美味しいエスプレッソを構成する技術を一つ一つ紐解いていきましょう!

まずドーシングをします

バスケット内に挽いた珈琲粉を入れることです。
いつも同じ山を作って挽かれた珈琲粉量を目視して確認してください。

<動作例>
①ポルタフィルターをノックボックスで叩き、コーヒーパックを捨てます。
 ◆大きな音が鳴るので最小限の回数と力でスマートに行いましょう。

②バスケット内に付着している珈琲粉と水分をダスターで綺麗にふき取ります。
 ◆残った珈琲粉からは出涸らしが出て、水分は新鮮な粉の抽出融解が起きたり、湯の通り道が出来たりし、適正な抽出の妨げとなります。

③グラインダーを作動させ、珈琲粉をバスケットに入れる
 ◆理想は全体的が均等に平たくなることですが、大抵山型になってしまいます。 ブレが少なくなるように同じ山形を作りましょう。 毎回同じ山型を作ることで、グラインダーによってブレる珈琲粉量を把握することができるからです。
 ドサー付きのグラインダー等、性質上真ん中に山型ができない場合はいつも同じ形の山を作るように心がけましょう。

タップについて

一度に全部入れたらこぼれてしまう粉量の場合等に、ポルタフィルターをグラインダーのツメで叩いて衝撃を与えて粉を詰める事を言います。タップは粉が詰まるので粉を多量にバスケットに入れることが出来たり、タンピングやレベリングのブレを抑えたりすることには非常に有効ですが、行うのであればデメリットについても理解していなければいけません。
 ◆ タップはドースされた山型のまま真直下へ密度が詰まります。密度差の偏りによるチャネル等の抽出弊害には注意しましょう。

レベリングの目的

レベリングとは、山型になった珈琲を平らにならすことです。
バスケット内の珈琲粉の密度を均等にするのが目的です。

<動作例>
①中央にできた珈琲山を人差し指で奥に動かし、人差し指と親指の間でこぼさないようにガードしながら奥から手前へ淵にそわせながら山を移動させます。
 ◆ 淵の端までこぼさないよう動かし、 淵に隙間なく粉を入れていきます。

②手前にきた山をまた奥へ動かして、今度は反対側を奥から手前へ淵にそわせながら山を移動させます。
 ◆粉と粉が触れ合ってる箇所より粉と金属(淵)が触れ合ってる箇所の方が湯が抜けてしまいやすいのでしっかりと入れ込むようにしましょう。

③①と②を何度か繰り返して淵に粉をしっかりと入れていきましょう。
 ◆抽出し終わった後にもし淵に穴が空いてしまっていたらそれは「チャネル」という現象で、気圧の抜け穴です。もっと淵に粉を詰めるようにしましょう。

タンピングのコツ

バスケット内の粉から空気を抜き、密度を高め、抽出気圧で崩れないように押し固めることです。

<動作例>
①タンパ―をドライバーを回す手の形で三本の指を伸ばして持ちます。
 ◆タンパーのハンドルで押さず指先を意識してベースを押すように持ちましょう。
ハンドルで押すとタンパー持ち手の『点』から力が発生して、力の方向がずれる可能性がありますが、指先を広げてベースを意識して押すと力の発生箇所が指の広がった面積分広がり、『面』で押すことができ、安定につながります。
 ◆指先でタンパーとポルタフィルターの縁が触れることにより傾きを判断することもできる利点もあります。

②ポルタフィルターにタンパ―を当てタンピングを行う姿勢を保つ。
 ◆タンピングを安定化するために、いつも同じ姿勢を作りましょう。
 ◆右足を前に出して左足を後ろに下げます。手首は固定させ、肘を入射角度として真上までを一直線にし、固定します。

③体重を利用して押し固める。
 ◆筋肉を極力使わないで体重を利用し、変動要因を極力減らした方が安定しやすいでしょう。
 ◆抽出気圧は48キロ程度です。これを超えることはほぼないと思いますが、タンピングがあまりに強すぎると抵抗が起きすぎて抽出弊害が起きます。
  ◆タンピングがあまりに弱いと表面が舞い上がる減少が起きます。
  ◆タンピングが弱いとタンピングで行うエネルギー分、抽出時にエネルギーが必要になります。抽出時は気圧と同時に水分も発生しているので抽出開始時に気圧がかかっていない時間ができてしまう為、ボディが弱くなります。

蒸らしについて

レバー式や抽出機構にパドルがあるエスプレッソマシンの場合蒸らし機能があります。
これはプレインフュージョンと言われます。
蒸らしというからには水分でふやかしてると思われますが、水分は全体の抽出を均す役割。
そしてもう一つ、軽い圧力がかかることによるタンピング効果です。
秒数さえ守ればどんなスタッフが入れても均等な圧力をかけることができます。
では、タンピングはしなくてもいいのかと思いますが、必要です。蒸らしを行うためのヘッドスペースを作る必要はあります。

いよいよ抽出!

粉がバスケットに入った時点で温度の影響を受けているので、出来るだけ手早くスムーズに行えるようになりましょう。

<動作例>
①ポルタフィルターをはめる前にリムやバスケット上部についた粉を裏返して払う。
 ◆暴れて悪い味になったり、パッキンに粉が挟まって気圧がもれてしまったり、グループヘッド縁に汚れがたまっていきます。

②抽出ボタンを一度押してデュフューザースクリーンに付着した珈琲粉および液を洗い流す。(フラッシュ)
 ◆湯温コントロールされていない管部分のお湯を抜くと同時にグループヘッドの温度を高めます。

③ポルタフィルターをグループヘッドにはめたら即時抽出ボタンを押す。
 ◆グループヘッドは湿っているのでもたもたしているとコーヒー粉が水分を吸って成分が融解(抽出)されてしまいます。また、珈琲粉は熱に弱く、グループヘッドの熱により成分の変質が生まれてしまいます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

少し早足ではありますが、エスプレッソの抽出動作についておさらいすることが出来たと思います。

珈琲は嗜好性が強い故に、こだわりが感じられればそれは正しさだと錯覚しがちです。

騙されないで。
まだまだ続きますが、形だけじゃなく理屈や理論に裏打ちされた技術を身に着けて本当に中身のある『こだわり』を身につけていってほしいと思います。